施設長座談会
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河内 緑
AIAI NURSERY 本八幡
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石川 久美子
AIAI NURSERY 西荻窪
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山下 愛子
AIAI NURSERY 三番町
保育園における園長の役割を教えてください。
河内 保育園には子ども、保護者、職員、そしてその周りに地域という4つの柱があります。この4つの柱にしっかり対応して安定して園を運営すること。つまり、子どもの最善の利益を守り、保護者の子育て支援、職員が保育の仕事にやりがいを持てるよう育て、そして地域社会全体が子育て支援を通じて豊かになる、このような機能を果たせるようにしていくことが園長の役割だと考えています。
山下 園長一年目の頃は子どもと保護者のことを考えることが多かった気がしますが、園長として経験を積むにつれ、職員や地域のことも考えられるようになってきたと感じますね。
河内 バランスが大事ですよね。園長は俯瞰的に物事を判断する必要がありますから、視野を広くもつように意識しています。
石川 子どもや保護者が地域に繋がることができるというのは、そこで暮らしていく基盤ができていくということになると思います。保育園が地域の子育て支援施設として、そこまでできるようにしていくことが園長の役割ですね。
河内 そのために、まずは子どもたちに来たいと思ってもらえる園、保護者に子どもを預けたいと思ってもらえる園になることが必要だと思います。
山下 子どもの満足、保護者の満足、職員の満足、地域の満足、どれが欠けてもそういう園になれないですね。
河内 これら4者、つまり園の方向性を一つに向けることが必要であり、方向性さえ一致していれば、方法はいろいろあっていいと思います。保育園の運営の基盤には保育理念がありますから、言い換えれば保育理念の浸透と言えるかもしれません。
石川 子どもたちが卒園しても、職員がこの他の園に行っても、関わる全ての人がいい人生を歩めるようにするということを考える。そういう未来を見て保育園という船の舵をとるという感じでしょうか。
園長の職務で大切なことは何ですか?
石川 傾聴する姿勢ですね。常に人に対している仕事ですから、誰が相手であってもそうであるよう心がけています。話を聞くときに傾聴の姿勢で聞く、というのはもちろんですが、話を聞く、ということそのものにアンテナを張って、聞くべき話を逃さず聞けるように気を付けています。また、そういう姿が職員のモデルにならないといけないとも考えています。
山下 一つひとつのことを解決できるまでやり遂げることですね。子どもにとってはもちろん、保護者、職員に対してすべて、丁寧に相手の気持ちや考えをくみとって解決していくことが大切だと思います。>
河内 そうですね、園長はやはりその園の責任者ですから、最後まで解決の責任がありますよね。そういう意味では決断することも大切だと感じます。園長が優柔不断では職員も困りますし、結果として子どもや保護者も不安になりますよね。何かあった時に、必ずしも結論を出すということではなくても、何等かの次の行動を起こせるようにしていくことが大切ですね。
山下 必要なことをきちんと決断して、丁寧に解決まで導くことは、子ども、保護者、職員、地域との信頼関係の構築という点でもとても大切だと思います。
AIAI NURSERYはどんな保育園ですか?
山下 子ども一人ひとりに合わせた保育をみんなが考えている。そういう意識がついている園ですね。
石川 養護と教育が一体となった保育という視点で、就学前の教育に力を入れている園だと思います。IQパズルや英語、体操といった幼児教育プログラムを取り入れていますが、知識や技術を修得するだけでなく、そこで学んだことが他の活動や生活の中で活かせるよう、人と人とのつながりの中で広げていく、という意識が職員に浸透していることが強みだと思います。
河内 子どもは遊びを通じて学んで行きますから、プログラムも遊びの一部と捉えています。子どもが楽しんで取り組んで、次もやりたい、もっとやりたいとなるように。プログラムがあることで、子ども自身にも様々な「やりたい」という気持ちが芽生え、次の遊びにつながる興味・関心を引き出し、広がりができています。
石川 そういった学びのベースとして乳児のころからの愛着関係の形成、他者との信頼関係を築いていくことも重要だと思います。AIAI NURSERYではそのことが保育目標にも謳(うた)われていて、職員にも浸透しています。
山下 保育理念や目標を掲げているだけでなく、そこから考え、何をどう実行できるか、職員一人ひとりが考えていて、結果として目的や目標が共有でき、子ども一人ひとり、保護者一人ひとりのことを考える、という方向性がぶれていないと思います。
石川 理念を共有して、常に相手のことを考える、いい人間関係に囲まれていることは、子どもの成長にとってとても大切なこと。大事にされた感覚が育ち、人に優しくなれると思います。
河内 そういった人間関係を含め、子どもたちがのびのびと生活し、自分自身で考えて学び、一人ひとり、それぞれの育ちを見守ってもらえる環境がある園でありたいですね。